蕁麻疹とは
蕁麻疹は皮膚が突然赤く盛り上がり(膨疹)、強いかゆみを伴う皮膚疾患です。
特徴的なのは、数十分から数時間で跡形もなく消えることですが、症状が1日近く続いたり、新しい膨疹が次々と現れて常に発疹がある状態になることもあります。
膨疹の大きさは様々で、1〜2mmの小さなものから数十cmの大きなものまであり、時には複数の膨疹が融合して体の大部分を覆うこともあります。
発症から6週間以内に治まるものを「急性蕁麻疹」、それ以上続くものを「慢性蕁麻疹」と分類します。
蕁麻疹の原因
蕁麻疹は大きく「アレルギー性」と「非アレルギー性」に分けられます。
「アレルギー性」は、食物や薬剤に含まれるアレルゲンが原因となって起こります。
「非アレルギー性」は、物理的刺激によるもので、主に以下のような種類があります。
- 機械性蕁麻疹:皮膚を引っかいた跡に沿って現れる
- 寒冷蕁麻疹:冷水や温水による急激な温度変化で発生
- 日光蕁麻疹:紫外線への暴露により起こる
なお、毎日繰り返し数週間以上蕁麻疹が出る場合は、食物アレルギーが原因である可能性は低いとされています。
蕁麻疹の検査について
蕁麻疹の約7割は原因が特定できないため、通常は詳しい検査を行いません。
ただし、内臓疾患が疑われる場合は血液検査で肝機能、腎機能、白血球数などを確認します。
また、問診で原因物質の可能性が示唆される場合は、パッチテストや血液検査によるアレルゲン特定検査を実施することもあります。
治療方法と治療薬
蕁麻疹は皮膚の深層(真皮層)で起こる反応のため、塗り薬では表皮のバリア機能に阻まれて効果が届きません。
そのため、治療には内服薬を用いるのが一般的です。
市販のかゆみ止め外用薬も同様の理由で効果が期待できないため、症状でお困りの場合は皮膚科への受診をお勧めします。
治療薬の種類
基本的な治療薬は抗ヒスタミン薬の内服です。
抗ヒスタミン薬には様々な種類があり、効果には個人差があるため、医師が患者様の症状や体質に合わせて最適な薬剤を選択します。
抗ヒスタミン薬の注意点
- 抗ヒスタミン薬は眠気を引き起こすことがあり、服用中は集中力低下の可能性があります。
- バイク・自転車の運転や機械操作をされる方は特に注意が必要です。
- 市販の風邪薬で眠くなりやすい方は、抗ヒスタミン薬でも眠気が出やすい体質の可能性があります。
- 日常的に運転や機械操作が必要な場合は、診察時にお申し出ください。
眠気の少ないタイプの薬剤や、就寝前のみの服用など、ライフスタイルに合わせた処方が可能です。
日常生活で気をつけるポイント
肌への刺激を避ける
熱いお風呂、強くこする、飲酒など、皮膚を刺激する行為は控えましょう。
原因が明らかな場合は、その要因を避けることが重要です(寒冷蕁麻疹なら冷気を避ける、日光蕁麻疹なら日差しを遮るなど)。
症状が重い時の食事
重症時は消化管にも蕁麻疹が起こり、下痢を伴うことがあります。
このような時は、タンパク質を控えめにし、おかゆなど消化の良い炭水化物中心の食事がお勧めです。
受診のタイミング
緊急受診が必要な場合
呼吸困難、激しい腹痛、全身の不調など、内科的症状がある時はすぐに救急外来を受診してください。
翌日受診で大丈夫な場合
蕁麻疹とかゆみだけの症状であれば、慌てる必要はありません。翌日皮膚科を受診しましょう。
