ニキビとは
ニキビは、毛穴が皮脂や角質で詰まることから始まる皮膚トラブルです。
詰まった毛穴の中で皮脂が酸化したり、細菌が増殖して炎症を起こすことで発生します。
ニキビには主に3つのタイプがあります。
白ニキビは炎症が軽く、皮膚表面に白い小さな膨らみとして現れます。
黒ニキビは毛穴に詰まった皮脂が酸化して黒く変色したもので、鼻や額によくできます。
赤ニキビは炎症が強く、赤く腫れて痛みを伴うのが特徴です。
効果的な予防には、正しい洗顔と保湿、皮脂バランスを整えるスキンケアが欠かせません。
また、バランスの良い食事や規則正しい生活習慣も大切です。
ニキビを潰すと炎症が悪化し、跡が残るリスクが高まるため絶対に避けてください。
ニキビ跡を防ぐには早期治療が重要です。毛穴の詰まりを取り除き、細菌の増殖を抑える外用薬での治療が基本となります。
症状が重くなる前に適切な治療を始めることが、きれいな肌を保つ秘訣となります。
ニキビの種類と進行段階
ニキビは進行の程度によって、以下の5段階に分類されます。早期の段階で適切な治療を行うことが、ニキビ跡を防ぐ鍵となります。

【白ニキビ】初期段階
毛穴に皮脂や角質が詰まり始めた状態です。この段階で適切にケアすれば数日で改善することが多いですが、放置すると次の段階へ進行します。
【黒ニキビ】酸化段階
詰まった皮脂や角質が空気に触れて酸化し、黒く変色した状態です。毛穴が開いているため目立ちやすく、このまま放置すると炎症を起こして赤ニキビになります。
【赤ニキビ】炎症段階
毛包内で細菌が増殖し、炎症を起こして赤く腫れた状態です。触ると痛みがあり、この段階からニキビ跡が残るリスクが高まります。
【黄ニキビ】化膿段階
赤ニキビがさらに悪化し、膿がたまった状態です。強い痛みを伴い、潰れると膿が出ます。ニキビ跡が残る可能性が非常に高い段階です。
【瘢痕(はんこん)】ニキビ跡
炎症が治まった後に、クレーターや色素沈着として跡が残った状態です。
一度できてしまうと、元の肌に戻すには専門的な治療と長い時間が必要になります。
ニキビ治療で処方される外用薬
以前はニキビ治療といえば抗生物質が中心でしたが、現在は保険診療でニキビができにくい肌質へと改善する薬剤が使用可能になりました。
治療は赤ニキビの炎症を抑えた後、白ニキビの予防へと段階的に進めるため、症状の改善に応じて処方薬が変更されることがあります。
過酸化ベンゾイル
アクネ菌を殺菌して赤ニキビを改善し、角質を除去する作用により白ニキビにも効果があります。
耐性菌ができないため長期使用が可能で、日本の臨床試験では3ヶ月で白・黒ニキビが約半分に減少しています。
皮膚刺激の副作用があるため、保湿剤を塗った後、少量から開始することを推奨します。顔全体で1日0.5g、月1本のペースで使用します。
アダパレン
毛穴の詰まりを防ぎ、新しい白ニキビの形成を予防する薬剤です。
正常な毛穴形成を促進し、ニキビができにくい肌質へと改善します。妊娠中は使用できません。
初期に乾燥やかゆみが出ることがありますが、2週間程度で軽減します。月1本のペースで数ヶ月継続することで効果を発揮します。
過酸化ベンゾイル/アダパレン配合ゲル
中等症以上(赤ニキビが顔全体で広がっている状態)に使用される配合薬です。
過酸化ベンゾイルの殺菌作用とアダパレンの角質改善作用を併せ持ち、炎症と毛穴詰まりの両方にアプローチします。
単剤で効果が不十分な方に適しています。
抗菌剤外用薬
クリンダマイシン、ナジフロキサシン、オゼノキサシンなどの抗菌薬で赤ニキビの炎症を治療します。
使用期間の目安は2〜3ヶ月です。
また、クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル配合ゲルは高濃度(3%)の過酸化ベンゾイルを含むため、より強力ですが刺激に注意が必要です。
3ヶ月程度使用後、炎症が改善したら単剤へ切り替えます。
ニキビ治療で処方される内服薬
ニキビの重症度や体質によっては、外用薬だけでなく内服薬も併用します。
炎症を抑える、皮脂分泌を抑える、ホルモンバランスを整えるなど、目的に応じて選択されます。
抗生物質(ミノサイクリン・ドキシサイクリンなど)
赤ニキビの治療に使用される内服薬で、アクネ菌の殺菌作用に加えて、炎症を直接抑える効果があります。
主にドキシサイクリン、ミノサイクリン、ロキシスロマイシンが処方され、いずれも高い治療効果が証明されています。
ただし、日光過敏症や下痢などの副作用が現れることがあるため、医師の指示に従って服用することが大切です。
漢方薬
ニキビのタイプによって適切な漢方薬が異なります。
赤ニキビには、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、清上防風湯、十味敗毒湯が効果的です。
一方、白ニキビに対して科学的根拠が確認されているのは荊芥連翹湯のみとなっています。
体質や症状に合わせて処方されるため、継続的な服用により体の内側から肌質改善が期待できます。
日常生活で気をつけるポイント
スキンケアの基本
1日2回、肌を擦らないよう優しく洗顔することが大切です。保湿をしっかり行うだけでも、ニキビの予防効果が期待できます。化粧品を使用する場合は、低刺激性やノンコメドジェニック(ニキビができにくい処方)と表示された製品を選びましょう。
食事と生活習慣
バランスの良い食事を心がけ、消化に良いものを選ぶことが重要です。チョコレートやナッツなど、特定の食べ物を制限する必要はないとされています。ただし、睡眠不足やストレス、食生活の乱れは、治療中の方でもニキビの再発につながりやすいため注意が必要です。
治療効果を高めるために
治療がうまく進まない場合、薬の効果だけでなく生活習慣が影響していることがあります。
規則正しい生活リズムを保ち、ストレス管理を適切に行うことが、治療効果を最大限に引き出すポイントとなります。
